ABOUT ferne web

〈セカイ系〉という言葉をキーワードに、ジャンル横断的に批評・インタビューを展開するウェブメディアです。「主人公と(たいていの場合は)その恋愛相手とのあいだの小さな人間関係を、社会や国家のような中間項の描写を挟むことなく、「世界の危機」「この世の終わり」といった大きな問題に直結させる想像力」のような形で定義されてきた〈セカイ系〉を、コンピュータやインターネットの普及により「世界」の意味が大きく変わった時代性を捉えた言葉として再解釈。デジタルテクノロジーに取り囲まれた現代における、アニメ・音楽・アート・文学・哲学……のあり方を探っていきます。


ferne について

編集者・ライターとして活動する北出栞による個人出版のプロジェクトとして2021年に始動。映画研究者・音楽ジャーナリスト・哲学研究者・現代アート作家・ライトノベル作家・ミュージシャンなど専門分野・立場の異なるさまざまなゲストを迎え、2024年現在、2冊の評論アンソロジーを刊行しています。

ferne

創刊号。2020年代=ポスト・コロナという時代性を意識しつつ、デジタルテクノロジーが生み出す新たな「距離(ディスタンス)」の感覚と、それを反映した新たな文化論を〈セカイ系〉を補助線に立ち上げることをテーマに制作しました。『天気の子』、『新世紀エヴァンゲリオン』、『イリヤの空、UFOの夏』などを対象とした長編論考のほか、映像・音楽の専門家を招いた座談会、哲学研究者や人気ライトノベル作家へのインタビューを収録しています。

ferne ZWEI

音楽特集号。「SoundCloud」「Bandcamp」などの配信プラットフォームを中心としたインディペンデントな音楽シーンにおいて、アニメ調のイメージを介して「個人」と「世界」を直結させるような作品が存在感を増していることを受けて制作しました。シューゲイザー、メタル、クラブミュージックなどを対象とした論考に加え、映像・音楽・テクノロジーの関係性をテーマとした作曲家や研究者へのインタビューを収録しています。


北出栞

1988年生。神奈川県横浜市出身。1990年代半ばをドイツで過ごす。音楽雑誌の編集部員、音楽配信サイトの運営スタッフを経て、2010年代半ばより現名義で評論同人誌への寄稿を始める。2021年、〈セカイ系〉をキーワードにした評論アンソロジー『ferne』を自費出版。同人誌即売会「文学フリマ」を中心に話題となる。2024年、初単著『「世界の終わり」を紡ぐあなたへ――デジタルテクノロジーと「切なさ」の編集術』(太田出版)が刊行された。